中企団加盟社労士
全国6,257事務所

トップページ団体案内(概要)ヒストリーof社労士vol19. 開業者の不満つのる


ヒストリーof社労士

» vol19. 開業者の不満つのる

 法改正が先か、団体一本化が先か   昭和50年においても両団体の合同懇談会での議論は前進しなかった。法改正問題だけでなく、団体一本化が絡むと必ず台頭するのが主導権争いである。「両団体の一般会員が等しく宿願としている全国社労士の一体化も、両団体の幹部連中の統合後の地位や名誉などの思惑もからんでか、両者とも頑として譲らない。両者とも自分たちだけに都合のいい法改正項目を並べているが、それには社労士として大局に立った考え方がみじんもなかった」(政治連盟)。
 また、「執行部は団体一本化を真剣に考えているのか。両団体がそれぞれの改正項目を打ち出して、そこに”当会を唯一の法定登録団体とする”とうたえば、両団体の併存を固定化するものとしか考えられず、執行部は何を考えているのか」(社労連会員)と一航社労士の不満はつのるばかりだった。
 日社労を追われた森下稔氏はこの年2月、社労士問題の研究機関として「社会保険労務研究会」を設立、全国各地のベテラン開業社労士40人を研究員として委嘱し、社労士の社会的地位向上の方策などを研究することを目的に活動を開始した。もちろん、私も研究員の一員として参加していた。
 研究会が標榜する諸問題を探求するうえでネックとなるのが「社労士の統一団体がないこと」である。諸問題を解明するにしても正確な開業者数などの基礎資料もないというのが現実であったからだ。 
 研究会は2月に発足して以来、毎月1回の定例会を開いていたが、現在の両団体併存を解消しなければ法改正も、社労士の地位向上も結局は”空念仏”に終わるという結論に到達、この打開策としてまず、開業者による全国大会を呼びかけ、これに参加した人たちとともに両団体の統合を促進し、沈滞しきった社労士制度の正常化を早急に実現しよう、と大会開催の準備に入った。
 ちなみにこの年の社労士の実態は労働省の調べ(3月現在)によると、全国の有資格者8万5,013人、このうち免許取得者は47,918人。さらに免許取得者中開業届を提出、自営に入っている者13,991人。労働省へ届け出たもの10,130人、厚生省届け出3,878人であった。

 

 ところで、この数字はひとつの疑惑を物語っている。というのは、開業者が両団体に占める割合、つまり会員数でみると社労連約5,200人、日社労は約2,700人の計7,900人。ただしこの数字はあくまでも公称であって、実数は両団体合わせて5,000人程度とみられていた。これは両団体にダブル登録した開業者がかなりいたからである。このダブリ会員は会費負担もダブリという重圧を抱え、このことも社労士の経済的基盤を圧迫する一因にもなっていた。
 では役所に開業届を出している社労士が14,000人もいるのに、両団体会員実数が5,000人とすると、あとの9,000人はどこにいるのか、という疑問である。両団体公称の数字でみても、6,000人がいずれにも所属しない、いわゆる”一匹狼”的社労士ということになる。
 もっとも兼業者(税理士、行政書士を本業とするひとたち)もいるから、この数字はもう少しすくなくなるかも知れないが、それにしても開業届済みの社労士のほぼ半数に近い無所届社労士がいたことになる。考えようによっては団体に入らなくても立派に食っていける、それも二重会費の負担もなしにである。特に問題となるのは、無所届社労士が両団体で一本化された報酬規定にしばられることなく、自分で決める”適正報酬”で顧問先を開拓できることで、たとえばこれをダンピングと指摘しても法に抵触しない。このような多くの不条理を解決するために最良の方法は開業者14,000人による完全に統一された団体ができることであった。

▲PAGETOP