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トップページ団体案内(概要)ヒストリーof社労士vol6. 社労士法は欠陥法?


ヒストリーof社労士

» vol6. 社労士法は欠陥法?

弁護士や税理士、行政書士などの身分法に基づく団体は、それぞれの法律の中で団体に関する規定が明確にされており、また、その業を行うためには必ず団体に登録(入会)するよう義務づけられている。これがいわゆる強制(加入)会といわれる所以である。
 ところが社労士法にはこの団体規定はおろか、自由業として生活の基盤となる報酬規定すらなく、法成立当時から”ザル法”のそしりを免れなかった。
 やっと社労士の免許を取ったものの「開業したいのだがどこに相談したらよいのか」「今後の社労士に関する通牒・通達などはどこから連絡されるのか」「自分の所属している団体は法的に認められるのか」etc。
 法定団体がないための不安からこうした声が当時多く聞かれたものである。
 業界筋では法の不備が悪質社労士をはびこらせていると危惧する声もあった。また、業界の発展どころか、社労士は社会的信用を失い制度そのものの崩壊につながるという良識派の声も多く聞かれた。
 ところで前述の”サムライ”業の法定団体はどのように運営されているのか、これに触れておこう。
 弁護士、弁理士、税理士、行政書士、公認会計士など各士業は法律の中に団体規定が明文化されており、さらに各法律とも会員の登録制を義務付けていることは先に述べた。
 いずれの団体も氏名、住所、生年月日、事務所の所在地、その他政省令で定める事項を法定団体に登録して初めて○○士として認められるわけで、それまでは単なる有資格者としてしかみなされない。このように厳しく登録を義務付けられているのも、権威ある国家資格を付与する以上当然であろう。
 弁護士の場合、地方裁判所の管轄区域ごとに設立され(弁護士法第32条)、全国の弁護士会は日本弁護士連合会を設立しなければならない(同45条)のであり、登録については同法8条で「弁護士となるには日本弁護士連合会に登録されなければならない」となっている。また同法9条では「弁護士となるには入会しようとする弁護士会を経て連合会に登録の請求をしなければならない」としており、この条文を基本に以下第10条から15条まで相当厳しい登録制である。
 このほか公認会計士は、法の定めるところにより全国を通じて一箇の日本公認会計士協会を設立しなければならないとされ、また税理士は国税局の管轄区域ごとに一箇の税理士会を設け、さらに全国の税理士会は日本税理士会連合会を設立しなければならない(税理士法第49条関係)のである。行政書士、弁理士などについてもほぼ同じような法定団体・登録制度となっている。
 このように各士業団体とも法定団体に登録を義務づけ、登録しなければ報酬を得て業を行えない仕組みになっている。ところが制度発足当時の社労士法をみると、当初、法第2条第1項の1号業務及び2号業務は当然としても3号業務にいたっては別段社労士の資格がなくてもできる。また法第3条で有資格者を定義し、有資格者は免許を受けることによって社労士となれるとされている。社労士は「社労士業の届出」によっていとも簡単に開業できるのであった。
 法改正により実に制度発足以来約30年ぶりに法定団体となった全国社会保険労務士会連合会は他の士業団体同様完全に認められた士業団体の仲間入りを果たした。
 しかし、この30年という空白の期間は社労士業界の発展をいささかながら阻害していたと思えてならないのである。

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