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法令改正最前線(第81回 『労働基準関係法制見直しの動向』)

<滝 則茂 氏>

1 これまでの経緯
厚生労働省は、2024年1月に学識研究者による「労働基準関係法制研究会」を立ち上げ、労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行ってきました。そして、その成果を取りまとめた「研究会報告書」が本年1月に公表されています。
その後は、労働政策審議会労働条件分科会に舞台を移し、上記研究会の報告を踏まえ、公・労・使の委員による審議が続いています。

本稿においては、9月30日に労働条件分科会の「参考資料」として公表された「各側委員からの主な意見の整理」を参照しつつ、いくつかのテーマをピックアップし、現時点での法改正の見通しについてコメントすることとします。この資料では、見直しの対象となるテーマにつき、「制度の現状等」と「各側委員からの主な意見」が表の形で整理されています。

2 主なテーマと法改正の見通し
〈家事使用人〉
従来、家事使用人は労働基準法の適用除外とされてきましたが、その就業実態が一般労働者と変わらなくなってきており、研究会報告では、適用除外の見直しに向けて検討すべきであるとの方向性が打ち出されています。これに関しては、労働者側、使用者側とも基本的には賛同しており、次期法改正において、見直しが実現する可能性が高いものと思われます。

〈法定労働時間週44時間特例措置〉
現在も残っている10人未満規模の一部業種の事業場における週法定労働時間を44時間とする特例措置については、研究会報告で撤廃に向けた検討に取り組むべきであるとされています。この点につき、労働者側は措置の廃止に賛同していますが、使用者側は、零細事業者への配慮の必要性を主張しており、段階的な移行を求めています。次期法改正のテーマとして盛り込まれるとしても、一気に廃止するというのは困難ではないかと思われます。

〈テレワーク等の柔軟な働き方〉
現行制度では、フレックスタイム制を部分的に適用することはできないため、テレワーク日と通常勤務日が混在する労働者について、フレックスタイム制の適用は困難です。そこで、研究会報告では、通常勤務とフレックスタイム制を組み合わせることができる制度の導入が提唱されています。この制度の導入に関しては、労働者側、使用者側とも賛同しており、次期法改正の内容として盛り込まれる可能性が高いのではないかと考えられます。

〈管理監督者〉
研究会報告では、本来は労基法上の管理監督者に該当しない者が管理監督者として扱われることがないよう、要件の明確化の必要性が指摘されました。この点につき、要件の明確化を図ること自体については、労働者側、使用者側とも特に異論はないようです。しかし、いわゆるスタッフ管理職の法定については、労働者側は反対、使用者側は賛成と意見が対立しており、すんなりと立法化が進む公算は低いものと思われます。

〈休日(連続勤務規制)〉
現行法上は、「4週を通じて4日以上の休日」という変形週休制も可能になっています。研究会報告では、これを2週2休にするなど、連続勤務の最大日数を減らしていくことが提言されています。これに関し、労働者側は早急に見直すべきだ主張していますが、使用者側は画一的な規制ではなく、現場の実態を踏まえ、労使合意による例外を認めるべきだとしています。規制を強化する方向での改正は行われると思いますが、何らかの特例が設けられる可能も少なくないのではないでしょうか。

社会保険労務士法人LEC
特定社会保険労務士 滝 則茂 氏

中小企業福祉事業団幹事 名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。1989年社会保険労務士登録。2006年特定社会保険労務士付記。

長年にわたり、LEC東京リーガルマインド専任講師として、企業研修、職業訓練、資格取得講座などの企画、教材開発、講義を担当。2003年4月より、社会保険労務士法人LECにて、労務相談、就業規則関連業務などに従事する一方、社労士向けセミナーの講師として活躍中。

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