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法令改正最前線(第66回 『労働基準法施行規則等の改正』)

<滝 則茂 氏>

今回は、2月14日の諮問と答申を経て内容が固まった、労働準法施行規則等の省令改正を取り上げることします。今回の省令改正は、労働契約法制の見直し(無期転換ルール・労働契約関係の明確化)、労働時間法制の見直し(裁量労働制)という2つの流れをまとめたもので、それぞれ学識経験者による検討会を経て、昨年から労働政策審議会労働条件分科会の場で審議されてきました。労務管理の実務に直結する重要な改正事項が含まれており、施行は2024年4月1日からとされています。
今回の省令改正事項は以下のとおりです。

1.無期転換ルール及び労働契約関係の明確化
(1)労基法15条1項前段の労働条件の明示事項に次の事項を追加
・通算契約期間又は有期労働契約の更新回数の上限
・就業場所・業務の変更の範囲

(2)無期転換申込権が発生する契約更新時における労基法15条1項前段に基づく明示事項に次の事項を追加
・無期転換申込機会
・無期転換後の労働条件

(3)無期転換後の労働条件を明示する際、労働契約締結時に書面の交付等の方法により明示すべきとされている事項については、書面の交付等の方法により明示すること

2.裁量労働制
(1)対象労働者の要件に関する決議事項として、次のものを追加
対象労働者に適用される評価制度、これに対応する賃金制度を変更する場合、使用者が労使委員会に変更内容について説明すること

(2)「本人の同意」について、次のような見直しを実施
・専門型について、本人同意の必要性と同意しなかったことを理由とする不利益取扱いの禁止を協定事項に追加
・専門型・企画型について、「同意の撤回」の手続を協定事項・決議事項に追加

(3)労使委員会の実効性確保のための見直し
・企画型について、使用者が労使委員会に対象労働者に適用される評価制度、これに対応する賃金制度の内容について説明することに関する事項を労使委員会の運営規程に追加
・企画型について、労使委員会が制度の実施状況の把握、運用の改善等を行うことに関する事項を労使委員会の運営規程に追加
・労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とすることを委員会の運営規程に定めるとともに、労使委員会の労働者代表委員の選出手続を適正化すること
・労働者代表委員が労使委員会の決議等に関する事務を円滑に遂行することができるよう、使用者が必要な配慮をすること(労働時間等設定改善法施行規則による労働時間等制定改善委員会においても同様)

(4)行政の関与・記録の保存等
・6か月以内ごとに行うこととされている企画型の定期報告の頻度を初回は6か月以内に1回、その後1年以内ごとに1回とすること
・専門型・企画型とも、健康・福祉確保措置の実施状況等に関する労働者ごとの記録を作成し、保存すること

※なお、同時に、専門型の対象業務に関する「厚生労働大臣の指定する業務」(厚生労働省告示)の改正により、2024年4月から、以下の業務が対象業務に追加されることとなっています。
銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言をする業務

社会保険労務士法人LEC代表社員
特定社会保険労務士 滝 則茂 氏

中小企業福祉事業団幹事。東京都福祉サービス第三者評価評価者。
名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。1989年社会保険労務士登録。2007年特定社会保険労務士付記。東京リーガルマインド主任研究員として、企業研修、職業訓練、資格取得講座などの企画、教材開発、講義を担当。2003年4月より、社会保険労務士法人LECにて、労務相談、就業規則関連業務などに従事する一方、社労士向けセミナーの講師として活躍中。

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