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法令改正最前線(第55回『育児介護休業法等の改正法案』)

<滝 則茂 氏>

今回は、2月26日に政府が国会に提出した「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案」について紹介します。この改正法案は、参議院先議の法案として国会に提出され、4月16日に、参議院本会議で可決され、衆議院に送付されています。本稿執筆の時点では、衆議院での審議は始まっていませんが、参議院での採決は全会一致でしたので、ほぼ確実に会期内に成立するものと思われます。

1.改正の趣旨
今回の改正は、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、子の出生直後における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付等所要の規定の整備等の措置を講ずるものです。
以下、改正法案のポイントを施行期日ごとに分類して紹介することとします。

2.2022年4月1日施行予定の改正事項
①有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
 有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間1年以上」
 という要件を廃止します。
 ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者の場合と同様、「事業主から引き続き雇用された
 期間が1年未満である労働者」を休業の対象から除外することは可能とします。
②育児休業を取得しやすい雇用環境整備、妊娠・出産を申し出た労働者に対する周知等
 具体的には、以下の措置を講ずることを事業主に義務付けます。
 ・育児休業の申出・取得を円滑にするための措置(たとえば、労働者に対する育児休業に係る研修、
  育児休業に関する相談体制の整備)
 ・妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対する個別の制度周知、休業の取得、
  意向の確認の措置(たとえば、労働者との面談)

3.公布日から1年6月を超えない範囲内で政令で定める日から施行予定の改正事項
男性労働者の育児休業取得促進のため、子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組み(「出生時育児休業」)を創設します。 この育児休業においては、原則休業の2週間前までに申し出ることができます。また、労使協定を締結すれば、労働者と事業主との個別合意により、事前に調整した上で、休業中に就業することも可能になります。
②育児休業の分割取得
 育児休業について、分割して2回まで取得することを可能とします。
③育児休業給付の見直し(雇用保険法改正)
 2①、3①の改正を踏まえ、育児休業給付について、所要の規定の整備を行います。

4.2023年4月1日施行予定の改正事項
①育児休業の取得状況の公表義務付け
 常時雇用労働者数1,000人超の事業主に対し、育児休業の取得状況について公表することを義務付けます。

 

 

 

社会保険労務士法人LEC代表社員
特定社会保険労務士 滝 則茂 氏

中小企業福祉事業団幹事。東京都福祉サービス第三者評価評価者。
名古屋市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。1989年社会保険労務士登録。2007年特定社会保険労務士付記。東京リーガルマインド主任研究員として、企業研修、職業訓練、資格取得講座などの企画、教材開発、講義を担当。2003年4月より、社会保険労務士法人LECにて、労務相談、就業規則関連業務などに従事する一方、社労士向けセミナーの講師として活躍中。

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