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» vol24. 三次の法改正で完成近づく

 社労士法改正反対を唱える日行連の請願は日に日に強まり、昭和54年5月、行政書士法改正の動きが表面化した。これは「提出代行業務及び相談業務を行政書士の業務に加える」ことを狙いとしたもので、第1次改正の衆参両院の附帯決議の「近い将来業務調整を行う」の趣旨に逆行するものとしてこれを阻止すべく陳情を強化した。関係方面への調整工作が実を結び、現行行政書士会員には既得権として社労士法第2条1号及び2号業務についてのみ”当分の間”認めるということで話し合いがつき、行政書士法改正案は昭和55年の第91国会に提案され4月23日に成立した。
 改正案の内容は、現在行政書士会に入会している行政書士に関しては、当分の間、社労士業務(社労士法第2条第1項第1号および第2号)を行うことが認められるものの、9月1日以降行政書士会に入会した者については、行政書士は前項の書類の作成であってもその業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない」という新規定により、行政書士の資格のみでは社労士業務(1,2号)はできないこととなった。
 これによって社労士と行政書士との士業分離は、56年をめざした第2次法改正を待たずして一応確立したわけである。
 第2次改正案は、5月12日参院社労委に上程された。上程に至るまでに日行連、日税連など法改正に反対する関連士業団体に対して強力な調整工作を行ったことはいうをまたない。
 社労委では遠藤政夫委員から提案が行われ、5月15日、参院本会議に上程、可決され衆院に送付された。衆院では5月22日の本会議で全会一致で可決、成立、6月2日法律第64号として公布、昭和57年4月1日から施行された。
 改正案の内容は、(1)職責の明確化、(2)会員社労士の申請等の提出に関する手続きを行うことができ、他人が作成したものにつき審査した事項等を書面に記載、申請書等に添付、または付記することができる、(3)社労士となるためには試験合格に加えて2年以上の実務経験を必要とする、(4)現行の免許制を登録制に改め登録事務は連合会が行う、(5)会員でない者は他人の求めに応じ報酬を得て申請書等の作成事務および提出代行事務を業として行うことができない、(6)この改正によって税理士、行政書士が法令の定めるところにより行ってきた既往の業務内容に何ら変更を加えるものではない、 が主な趣旨であった。
 事務代理については日行連から強力な反対陳情がなされたため、「代理」は次の第3次改正に積み残すことになった。この第2次法改正は難航を極めたようであった。しかし、法定団体の明文化の次の登録制への移行は実現したのである。
 昭和61年5月13日改正案が衆院社労委員会に提案された。
 改正案は、(1)職務内容の充実としての事務代理、(2)企業内社労士の登録の充実と責務、(3)研修、の三項目に絞られた。
 5月13日の衆院本会議で第3次案は可決され参院へ送付、5月16日の参院本会議で可決成立、5月23日改正法律第60号として公布され、10月1日の施行となった。

 

 職務内容の充実とは、社労士は労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告その他の事項(主務省令で定めるものに限る)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査もしくは処分に関する主張もしくは陳情(主務省令で定めるものを除く)について、代理することができるものとすること、である。
 企業内社労士の登録は企業内社労士は、社会保険労務士名簿に、現行の登録事項に加えて、勤務する事業所の名称、所在地、その他主務省令で定める事項の登録を受けなければならないこと。
 研修は、社労士は社労士会及び連合会の行う研修を受け、資質の向上を図るように努めること。また企業内社労士が研修を受講しようとするときは、事業主は、事業の運営に支障ない範囲で受講機会を与えるよう努めなくてはならないこと。
 この企業内社労士の呼称は法律では勤務社労士である。
 多年の懸案であった代理権、それも労働基準法、最低賃金法の取締法規に関する申請等をはじめ、500項目以上の大幅な事務代理の範囲が承認されたことは、社労士の社会的地位の向上のため喜ばしいことであった。
 ちなみに、公法上の代理制度は、(1)弁護士法の起訴代理、(2)税理士法の税務代理、(3)建築士法の代願、の三制度があったが、今回の改正により社労士法の事務代理が加わり4制度となった。
 三度の法改正によってかっては”ザル法”とまでいわれた社労士法は、そのザルの目がひとつひとつつぶされて行き完成に近づいてきたといえよう。

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