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ヒストリーof社労士

» vol15. 雪融けムード高まる

 昭和47年は2団体並立時代の幕開けであった。
 この2大団体をもう一度合併協議の土俵に上げようと考える心ある社労士は多かった。その土俵づくりに当たってひとつのエピソードがある。公式記録には出ないこのエピソードを是非紹介しておきたい。
 47年3月のある日、日社労の森下稔事務局長が労働省を訪れた。制度管理室野地忠平室長に対する公式訪問だった。同氏の訪問は旧両団体協議会中断以来初めてのものだった。
 この日の懇談には室長のほか社労連結成を促進、バックアップした労働基準局監督課の佐々間昭明課長補佐(現団体理事長)と阿久刀川勉係長(現団体役員)も同席した。その内容は、社労士の全国統一を前提として、行政の開業社労士に対する取扱いの平等化や、共通事項の実施に当たって相互協力をはかることなど両団体でこれらの問題を話し合う場を設けることを労働省側に打診したものといわれる。
 連合会参加単位会はこの時点で29会、したがって完全な全国組織とはいえないが、日社労としては連合会に未加入単位会が参入充足した時点で、旧団体間の協議方式とは違った形で話し合いを進めたいという意向を明らかにしたわけで、労働省側もこの考え方に同意した。また、両省庁の出先機関での開業社労士に対する取り扱いや資質向上のための講習会、研修会の共催などは、両団体の正式な会合以前でも実施できることが確認された。
 この森下氏の労働省訪問がきっかけとなって、日社労、社労連両団体の新しい協議会が実現するのである。
 さて、社労連の47年度通常総会は5月13日、東京・芝の中退金ビルで開かれた。連合会結成後初の定時総会だった。この日、日社労から森下氏が来賓として出席、古井会長の祝辞を代読するなど、両団体の雪融けムードを盛り上げた。
 日社労は7月、両団体友好促進のアドバルーンを掲げた。それは研修・講習会の共同開催の推進、社労士報酬額表の総合調整、両団体重複加入会員対策の検討  などについて意見交換を行いたいというもので、この話し合いを具体化することによって両者間の友好関係を強め、公式な連絡協議会設置へ持っていきたいとする意向だった。
 まず、研修会の共同開催は6月12日、日社労東京支部城南支会が制度発足後、初めて両省庁出先機関の後援を得て実施した。港社会保険事務所、三田労働基準監督署、芝園橋公共安定所がそれぞれ講師を派遣、好評だった。このことから地区別研修会の共催は現状でもすぐできるという判断がもたれた。
 報酬額表の調整については、両団体が現在使用しているものを共通したものに調整し、それを大臣告示にもっていこうという考え方である。この問題もすでに社労連に報酬規定委員会が設置されていることから、両団体の事務局長レベルによる調整で早期実現が可能とみられた。

 

 最も重要な課題は重複会員対策である。たとえば日社労東京支部の年会費は開業者で12,000円、社労連東京都社労士会は18,000円である。しかし、都下での開業社労士はこれまでの両省庁間、両団体のアツレキのあおりを受けて業務の都合上両団体に加入せざるを得ない状況にあったため、開業者は両団体に合わせて30,000円の会費負担を強いられていた。
 会費の二重負担は地方でも同様のケースがみられ、開業の共通した切実な問題であった。
 日社労が呼びかけた友好促進のための構想には、以上のほか社会保険行政上の優遇措置の拡充策があった。このメリット制の適用を日社労会員だけでなく、団体には関係なくすべての開業者を対象に適用しようというものであった。
 「厚生省サイド、労働省サイドだなどといがみ合う時代は終わったとおもう。制度も満4年を迎えたのだから、これからは開業者、企業内社労士の権益を高めるための実行の時代に入ったといえる。連合会との正式な連絡協議会の開催も必要だが、今回の3点については事務局レベルで話し合いできる問題だと思う。連合会の萱野事務局長に非公式に打診してみたが感触はいいようだ。優遇措置にしても開業社労士にあまねく適用されることが制度確立のためにも必要で、1日も早く話し合いを始めたい」(森下氏談)
 日社労は8月の健保・厚年被保険者標準報酬月額算定基礎届に際し、全国規模で傘下開業者を動員、事務手続きに協力、各地とも事務処理は例年に比べ10%も向上する実績をあげた。
 このように開業・非開業を問わず会員社労士を行政に活用させたことは行政事務の円滑化を促進すると同時に、協力した社労士も相談に来る事業主に接する機会が増え、新しい顧問先が開拓できたなど効果がはっきりとあらわれたという。

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