←cafeのトップに戻る
 

2008.06.25 講演

「中小企業の活性化」の本質に、ジャーナリスト高野孟氏が鋭く切り込みます。

中小企業に未来はあるのか!?

高野 孟(たかの・はじめ)=インサイダー編集長
1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒業後、通信社、広告会社に勤務。
1975年からフリー・ジャーナリストになると同時に情報誌『インサイダー』の創刊に参加、80年に(株)インサイダーを設立し、代表兼編集長に。
94年に(株)ウェブキャスターを設立、インターネットによるオンライン週刊誌『東京万華鏡』の編集・執筆に従事。2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」を担当。
著書に『地球市民革命』(学研、1993年)、『最新・世界地図の読み方』(講談社現代新書、1999年)、『滅びゆくアメリカ帝国』(にんげん出版、2006年)ほか多数。 テレビのレギュラー出演は、TV朝日「サンデープロジェクト」(日曜日10時〜)、大阪読売TV『情報ライブ・ミヤネ屋』(火曜日16時〜)。

 今日は「中小企業に未来はあるのか」というテーマをいただいておりますが、私は日本経済全体の先行きに関しても基本的には楽観論にたっておりますし、その中で中小企業のこれからについて言えば、確実に未来はあると確信しております。
 景気の議論の中で、例えば少し景気が上向いてきた、しかし、大企業は良いが中小企業は大変だということが何百回となく繰り返されてきているわけですが、これは半分は本当ですけれど半分は嘘だと思います。
 今、日本が直面しているのは、「アメリカの世紀」が終わるという世界的な構造変動ばかりではありません。日本独自の問題としても、明治以来の官主導の発展途上国体制が終わるという百年目の転換とも言うべき構造変動があり、この内外の両要因が折り重なっている中で、大企業も中小企業も等しく大変な状況にぶつかっているのです。
 かつて我々が学校で経済学をかじった頃には、いわゆる日本経済の二重構造論が語られており、まさに大企業は良いかもしれないが中小企業は大変だ、かわいそうだという常識がまかり通っておりましたけれど、中小企業は体力がないという点を見ればその半分は本当のことだと思います。例えば、アフリカで飢餓や災害、伝染病などが一つの国を襲いますと子供の方が大人より被害が大きいのは当たり前の話で、しかし今申し上げた意味での世界的な構造変動、そしてまた日本独自の百年目の転換というような二重の大変動の中にあっては、大企業も大変だし中小企業も大変だと言わなければいけないと思います。
 例えば、銀行大再編で十いくつあった大手銀行は今ではいくつになったのか。私はときどき何処と何処がくっついて何という銀行になったのか分からなくなります。振込先を聞かれて東京三菱USJ銀行と伝えたら、「USJはユニバーサルスタジオじゃないですか」とか、今度は三井住友UFJと伝えてしまい、「そんな銀行無いですよ、ふざけないでください」などと言われてしまったこともあります。何が何だか分からなくなるほど大銀行がぐちゃぐちゃになり、名前が二つも三つもくっついているその内部は、聞くと大変ですね。何十年かかったら一つの銀行になれるのかわからないくらいに内部抗争が繰り広げられ、人事などの不満から内部告発が起きているようであります。日本で一番安定していると思われていた大銀行がこんな目にあうということは、十年、十五年前には本当に誰も想像しなかったし、損保・生保の業界を見てもそれに近いことが起きているわけで、大企業は良いかもしれないが、とは誰もが簡単には言えないという状況です。
つづきを読む→