| 今回(本テーマの最終回)は、「従業員に不利益を与える制度改定」を行う際の事業主の説明責任について、考えてみることにします。これに関しては、11月28日に国会で成立した「労働契約法」の中に、就業規則の不利益変更に関する規定(法9条・10条)が設けられました。この規定は、従来の判例法理を立法化したものです。 まず、法9条で「就業規則変更による一方的な労働条件不利益変更は許されない」との大原則を確認しています。つぎに、法10条では前条の例外として、( 1 )変更後の規則の労働者への周知、( 2 )就業規則変更の合理性を要件に、変更後の就業規則の拘束力を認めています。( 2 )の合理性を判断するためのファクターとしては、「労働者の受ける不利益の程度」、「労働条件の変更の必要性」、「変更後の就業規則の内容の相当性」、「労働組合等との交渉の状況」が例示されています。このうち、最後のファクターは、事業主の説明責任につながるものだといえます。すなわち、事業主は労働者に少しでも理解してもらえるよう、交渉や協議の過程で誠意をもって説明に当たらねばならず、そのような行動に欠けると判断されれば、就業規則変更の合理性が否定されることになってしまいます。 では、実際上、事業主はどうすれば良いのでしょうか。まず、何故そのような変更が必要であるのかをできる限り具体的に説明する必要があります。その際には、経営を取り巻く外部環境の厳しさのみならず、事業主としての経営改善に対する取り組み(過去・現在・未来)をきちんと説明しなければなりません。つぎに、従業員の利害に直結する「不利益の内容」について、ごまかすことなく正面から説明することが肝要です。ありとあらゆる領域で、情報公開・透明性が叫ばれている今日、情報の出し惜しみは大きな損失につながるだけだと考えます。
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