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 vol29. 労働法制の見直しB

今回は、最低賃金法の改正を素材として、述べることとします。

皆さんご承知のように、第166通常国会に上程されていた最低賃金法改正法案は、時間切れで継続審議となり、次期国会(参議院選挙後の臨時国会)にて審議されることになりました。今回の改正法案の内容のうち、最も大きなポイントは、「生活保護との整合性」が、条文に盛り込まれているという点です。

すなわち、地域別最低賃金の決定要素としての「労働者の生計費」を考慮するに当たって、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことが、明文化されています(改正法9条2項・3項)。一部の都道府県(2005年度の厚生労働省の試算では12都道府県)において、生活保護の水準よりも最低賃金の方が低くなっており、かかる不合理を改める必要があると考えられたからです。たしかに、労働者のモチベーションという点から見れば、このような現状を放置するのは好ましくないでしょう。

当初の政府の目論見としては、166国会で改正法案が成立すれば、今年度の途中から(例年だと、10月から)、改正法の趣旨もふまえた地域別最低賃金の見直し(従来よりも大幅な見直し)を行う予定でした。ところが、その前提が崩れてしまったため、大幅な見直しは、来年度以降に持ち越される公算が大きいと考えられます。

他方、経済界(特に中小企業)からは、最低賃金の大幅な見直しは、人件費のアップにつながり、経営を圧迫するのではないか、との懸念の声があがっています。既に166国会で成立したパート労働法も、パートタイマーの人件費の引き上げにつながる要素を含んでいますので、経営基盤の弱い中小企業にとっては、ダブルパンチとなりかねません。

法を守りつつ中小企業の経営を守るためには、どうしたらいいのか。今回の労働法制の見直しは、事業主はもちろん、私たち社会保険労務士にも大きな課題を投げかけています。

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