| 定年延長や定年制廃止に踏み切れない企業を念頭に、今回は、希望者全員を対象とする再雇用制度について、考えてみることにします。
高年齢者雇用安定法における継続雇用制度にあっては、皆さんご承知のように、労使協定(協議不調の場合は、暫定的に就業規則)で選考基準を定めることにより、対象者を絞り込むことができます。現に多くの企業では、この基準付きの再雇用制度を採用しています。
しかし、継続雇用制度の本来の建前は、希望者全員を対象に65歳までの雇用継続を認めようとするものであり、労使協定等で選考基準を設けるのは例外的な取扱いとして位置付けられています。全体から見れば少数派ですが、希望者全員を対象とする再雇用制度を設けている企業も存在します。この制度においても、通常は、1年単位で契約の更新を行うことになっていると考えられます。そして、契約の更新に際しては、従業員本人の希望を聴くのみならず、会社側からの要望(業務内容、勤務条件など)も提示することができます。当然ここでは、今後の契約内容に関する労使の個別的な話し合いが想定されています。
この話し合いがまとまれば、安定的な労使関係の形成につながります。では、話し会いが不調に終わった場合はどうなるのでしょうか。会社としては、従業員が雇用の継続を希望する以上、雇用継続を前提に対応しなければなりませんが、条件変更が一切認められないとまでは言えないでしょう。こうなると典型的な民事上の問題であり、最終的には裁判で決着がつくことになります。
このようなトラブルが発生するリスクはありますが、制度作りで頭を悩ませるよりも、誠意を持って個別交渉に当たる方が、中小企業の労務施策としては適切ではないかと考えます。また、社労士としても、個別交渉に係る適切な助言ができるように腕を磨く必要があるのではないでしょうか。
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