←目次に戻る 
 vol11. 社労士の代理権@

 これから4回にわたり、今注目されている社労士の代理権について、述べることにします。今回は、従来から認められていた代理権を取り上げます。

社労士に最初に認められた代理権は、昭和61年改正で登場した「事務代理」の代理権です。これは、労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告や、行政機関等の調査・処分に関し行政機関等に対してする主張・陳述に関する代理権を意味します。限られた範囲ではありますが、社労士は本人(通常は事業主)に代わって自己の判断で行動できるのですから、「代行」しか認められなかった従来に比べれば、大きな前進といえます。

つぎに、平成10年改正によって加えられた「審査請求代理」(審査請求、異議申立て、再審査請求に関する代理)があります。これは、行政処分に対する不服申立ての代理権を一定の範囲で社労士に認めるものであり、「法律家としての社労士」への第一歩として位置付けることができます。

その後の平成14年改正で、個別労働関係紛争解決のための紛争調整委員会における紛争当事者の代理(「あっせん代理」)が認められるに至りました。この代理権付与は、民事的なトラブルの解決過程に社労士が代理人として、報酬を得て関与できる途を開いたものであり、社労士業界にとって画期的な出来事であったと考えます。ただ、この代理権は、あっせん手続内における代理権であり、手続終了後の和解契約の締結など、あっせん手続の周辺の諸行為を代理する権限までは含まれていません。これはいかにも不自然であり、社労士の紛争解決への関与が認められたといっても、不完全なものと言わざるをえなかったのです。

▲ページのTopへ