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 vol2. 労災民営化についてA

 労災保険の民営化により、損保会社等が扱う場合の問題はいろいろあるが、労災保険の適用面からいうと、全面適用が労働者保護の点から必要となる。規制改革会議の民営化の必要性の中に未加入者の増大というのがあるが、果たしてそうなのであろうか。現在、労災保険は強制適用であり、我々社会保険労務士も少なからず適用拡大に協力しているが、なかなか芳しくないのが現状である。民間会社が強制適用を推進しようとしても、営利目的が果たされないような加入者は切り捨てる可能性があるし、一社だけではないので責任逃れをすることも考えられる。そもそも労働基準法による労働災害の賠償責任は使用者の過失、無過失を問わずに存在する。加入していない会社の労働者は事業主の労災補償を受けることとなるが、可能であるのか甚だ疑問である。
 労災の給付には短期給付である療養の給付ばかりでなく、長期給付である年金がある。損保会社にも年金保険があるがすべて原資が限度の有期給付である。損保会社が経営破綻した場合はどうしようもない。民営化の場合は参入した会社に自由競争をさせ、保険料の多寡が問われることとなるかもしれない。資本の大きい会社や経営状態の良い会社にばかり加入者が集まり、経営破綻する可能性は増大する。
 労災保険と労働基準監督行政、および安全衛生行政とは密接な関係がある。現在、労働災害が減少傾向にあるのもこの行政指導のおかげといっても過言ではない。労災事故が起きれば何らかの不安全要素が存在するが、これを集約して事故が起こらないようにするのが行政の務めである。労災保険と分断しては労災事故の増加につながることは必至である。
 以上のような観点からみても労災の民営化はやってはならないことであると思う。

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